【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―


バスケ部はジャージをしっかり上まで着て前が三年後ろが二年と一年で並び、下を向いて動かない。

その後ろの真ん中に、さっき声をかけてきた新道先輩の姿がある。

やっぱり、一つ頭が飛び出てて、顔が小さくてカッコいい。


凛くんも副顧問だから一緒に前に出ているのだけれど、

目が合わないのが寂しいから、ついつい先輩の方ばかり見てしまう。


――音楽と共に踊り出したのは、ヒップホップ。

映画の主題歌のメドレーに合わせて、踊りだす姿に心奪われる。

今までの笑いをとるノリから一転、本格的なダンスに皆が釘つけになっている。

「ちょっと、ヤバいよ。ヤバい。カッコいい~~」

花音がそう言った時、バスケ部が一斉に上着を脱いで、空へ放り投げ。

今度は前後が変わり、一年と二年が前になった。

「あ、凛くん先生だ」

「えぇ~~、ちょっと、ちょっと~~」

私も息を飲む。

さっきの先輩と凛君がブレイクダンスを披露し始めたから。

頭だけでグルグル回る瞬間、生徒たちから黄色い声が飛び交った。