【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

「新道は、足が良くなるまで無理しないで座って いなさい」

「うん。でも、俺がいなきゃあきが辛いからさ」

「――?」

挑発するように、笑顔で先輩はそう言うと、少し だけ凛君の無表情は瞳が揺れた気がするけれど、 その意味までは分からなかった。

「言っている事の意味は分からないが、七瀬は 今、言わなきゃならない話か?」

ふーっとため息をつかれたら、壁を作られたよう で、息がうまく吸えなくなる。

「あ、の、昨日の話を。その、誤解だからって」

「お待たせ―。あ、1年ったら準備早いじゃん。あ りがとー!!」

バレー部と入れ替わりに入ってきた深雪先輩の声 で、緊迫していた空気が解けて行くのが分かっ た。

緊迫していたのは、私と凛君だけだけど。

しかも先輩の前でどう言っていいか分からずに躊 躇ってしまったし。

「あれ? ランニングと基礎トレ前にゴール用意 してる~。珍しいね」

何も知らずににこにこ笑いながらこっちに向かっ てくる先輩に、何故かとっても救われる。 先輩、ありがとう~~。