【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

ドサドサっ

ファスナーを閉めていなかったカバンから、教科 書や筆箱、お菓子やらゲーム機が落ちていく。

あ、嘘だった。よく見たら教科書は何も入ってな い。

こそこそと足早に帰ろうとしていた時のバットタ イミング。

「ナイスタイミング! 拾って、あき」

松葉杖の奏先輩にそう微笑まれたら断れない。

「もう。ファスナーは閉めなきゃ駄目じゃないで すかぁ」

学校指定の同じ横かけカバンのはずなのに、先輩 のカバンには外国のバスケチームの缶バッチやら ワッペンがペタペタ貼ってあるうえにヨレヨレ だった。

「じゃ、体育館までカバン持って欲しいな」

「ええー! 私はもう帰ろうかと」

「うん。早く」

ヤられた。

絶対にわざとカバンをぶちまけたんだ。

私が逃げているのはお見通しってわけなんだ。

「マネージャーに入ってくれるまで、毎日待ち伏 せするからな」

……色々と悩みを増やさないで。