【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―



――凛くんが居た。

黒のジャージを着て、他の先生たちとにこやかに笑いながらこっちに向かってくる。

眼鏡もせず、寝解せもない。
大人の顔して笑う凛くんは、なんだか遠い。



私たちとすれ違っても目線さえ合わさずに。


そんな社会人として公私を分けるのは、当然かもしれないけど、
私には、胸がえぐられるように痛い。


あ―やっと、恋人になれたのに。


「がんばろう、あき」
「さ、行こう行こう!」


二人に背中を押されながら、グラウンドへ向かった。

重い足を引きずりながら。






部活の紹介という名の部活対抗パフォーマンス大会だと気付いたのは、ラグビー部の紹介が終わってから。

テニス部は、女装でテニス漫画のパロディを。