【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―




「大人扱いして欲しいってことは、こーゆー事なんだけど?」

「凛くん?」

「『先輩を好きになれたらよかった』?」

そう言った凛君の顔は、私の知らない凛君の顔だった。




「お前の告白は、その程度だったんなら、優しくて安心する新道を選べばいいだろ」

スッと肩の手を離すと、そのまま此方を見ることなく下へ降りて行く。

なっ、一方的に気持ちをぶつけるだけで、逃げるなんて。

「凛君は、安心する言葉はくれないんだね!! こんなの恋人のキスじゃないんだから!!!」

下に親が居るのも承知でそう叫ぶと、凛君は階段の途中でぴたりと止まった。


「受け止めてくれたくせに、全然凛君の気持ちが見えないんだもん! 分からないんだもん! 私、――まだ凛君より10年も経験少ないんだから!

凛君の頭の中なんて分からないよ!」
ポロポロと涙が零れたのは、一方的に気持ちをぶつけるキスだったから。

甘くない、荒々しいキスに、――それでも凛君の唇だからときめいてしまう。


でもね、ちゃんと私の気持ちも受け止めてくれた日みたいな、甘い切ないキスが欲しいの。