【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―




『何? 
まだ俺にときめいてるの?』

「あはは、本当に先輩を好きになれたらよかっ」

ほろりと、ついつい違う事を考えていて、そう言ってしまった口を押さえた。
部活の時と言い、うっかりしすぎた。

―――今の言葉は、奏先輩に対して不誠実すぎる。

「あの、ご、め」

『あーあ。それって俺が優しい先輩だからだろ? ひどーい』

……そう言いつつも、先輩の声はトーンが少し落ちた気がする。



本当に自分の馬鹿さ加減が嫌になる。



「ごはん、呼んでるんだけど?」


「!!!!」


「下、みんな待ってるから」

そう無表情で言って、そのままドアを閉めたのは、――凛君だった。



一体、いつからそこに居たんだろう……?

というか、どこまで聞いたんだろう。

なんかちょっと色々ヤバい気がする!

「ごめん、先輩、また明日です」

『え、りょうかーい』

急いで携帯を投げ捨てて、廊下に飛び出すと、

下に降りたはずの凛君が、壁に持たれてこっちを見ていたから息を飲んだ。


スーツ姿で、手にキーケースを持ったまま。
もしかしたら帰って車から降りてすぐに、私の所に来てくれたのかもしれない。