【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―



「――あと、私、顔にすぐに出ちゃうみたいなんで」

『気にしない気にしない。俺たちは練習に集中にてるから、んなにマネージャーの顔が真っ赤だとか見ないよ』

「嘘ですよ! 奏先輩とか、周りの状況とか把握してるじゃないですか! 気を使ってくれてるし、尊敬しますよ」





『尊敬じゃなくて、――ときめいて?』



「わっわっ」


い、いきなり耳元で囁かれるような甘い声を出されて、携帯を耳から離してしまった。
これは、ズルイ。ドキドキしてしまって胸が!

スピーカーを押して、ちょっと耳から離して声を聞くことにしよう。

『ごめんごめん。美声に聞き惚れたかな?』

「はいはい。その通りですよー」

やけくそでそう返事をすると、先輩の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
本当に、何でも楽しそうに聞いてくれたり、してくれたり。
奏先輩といると落ちつくのは、温かい雰囲気だからなんだと思う。


それに比べて、凛君なんて一緒にいたらドキドキするし、
目が悪いから、問題を覗きこんで教えてくれるんだけど、肩が触れたりさらさらの髪が当たったり。

よく考えたら勉強に集中できなかった一つに、凛君の距離の近さもあったはずだ!

私の成績が伸びなかったのも、ドキドキのせいだ!