【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―



「足ヶ瀬先生、ちょっと威圧的じゃね?」

人手が足りすぎて、時間を持て余してしまったバスケ部一年の一人がぼそっと言った。

――その言葉ドキッとする。

「確かに。それに新道先輩いなきゃ、先輩とか怖いのにさー。授業中も新道先輩見つけて、カーテン閉めたじゃん?」

「それって嫌って――」


「そんなことない!!」


他愛もない暇つぶしの戯言だと分かっていたのについつい反応してしまった。
思わず大きな声で言ってしまい慌てて口元を押さえるが、同じクラスの男子も聞いていたバスケ部もポカンとしている。


「あのさ、凛君先生は、真面目だから昨日の先輩の怪我を責任感じてるだけだと思うの。
その、だから、ついついきつい言葉になるのも、先輩に早く治って欲しいからなの!!!」


高々にそう言った後に、男子達が口を開けて更にポカンとこっちを見ているのを感じ現実に引き戻されて
しまった。

「……じゃないかなぁぁ~~って思ったり、そうでなかったり。あははは~」
と笑って誤魔化すと、黙っていた深雪先輩も口を開いた。

「足ヶ瀬先生は、奏とダンスの練習中もあんな真面目な感じだったよ。
あんたらも奏みたいな先輩になりたいなら陰口はやめな? もてないよ」

きっぱりそう言う先輩はカッコよかった。私の発言はポカンとされたのに、深雪先輩の発言で一年生は急にバツが悪そうな顔で静かになったし。