【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―





「走れないから、応援」

「今日の外練習は体が冷えるから、無理せず帰りなさい」

「えー!! 寂しいから嫌だ!」

「ベンチで部長がチャラチャラするのもどうかと思うけど?」


そう言うと、私の方は一切見ずに、深雪先輩たちのほうへ歩いて行く。


「焼きもち? 機嫌悪くねぇ?」

「ま、さか」


そんなはずは……。
公私混同しないもん。

「本当に先輩の体を気遣ったのかもしれないですよ?
今日は無理せず帰りませんか?」

「家帰っても、誰もいないし暇だって」

「――新道、送るぞ」

話の途中で、凛君がまた戻ってくると、横に置いてあった鞄を取った。


「まじで?」
嫌そうな、苦い顔をする先輩にはお構いなしに凛くんは手を差し出してきた。

「ついでに置いたままの自転車も載せてやるから」

そう言うと、奏先輩は渋々、凛君に連れられて帰って行った。


仕方なく、私も深雪先輩の元へ行って、お茶の準備を手伝うことにした。

持参した水筒とは別に、お茶も作ってプラスチックのコップに注いで並べて行く。