「無理無理。私らみたいに悩みを共有したい男なんていないよー」
花音はゲラゲラ品のない笑い声で、可愛らしくポッキーを食べている。
柊も眠たそうな顔で、さっきの古文の先生の似顔絵を描いたノートに、私のノートを移していた。
3限の古文は、本当に眠たかった。頭の残念な散り方をしたおじいさん先生なのだが、抑揚のないしゃべり方は、お経を聞いているみたいだった。
水曜の時間割は、みんな抑揚のないしゃべり方をする先生ばっかで、皆、眠たくてうとうとしたり、睡魔と戦ったりで静かな一日だったりする。
「4限の英語なんかは、もう字が汚いから解読不可能な呪文よね。あの呪文をノートに移したら、眠ってしまう呪文よ」
「だからって花音はそんな、一番前の席で眠るなよ」
花音は、4限に備えて腹ごしらえ、柊は眠たくても先生の顔を可愛く描いたりしてなんとか正気を保てそうだし、わたしだけ寝てしまいそう。
「結局、でもあきは抱きついて一緒に寝ただけでしょー?」
最後の1個のポッキーをゆっくり口に入れながら笑われた。
「男なんて、かっこつけたい生き物なんだから、本音言わないんじゃないの?」
柊も私のノートを移し終えたようで、ノートの隅に古文の先生の似顔絵付きで戻ってきた。



