「じゃあ。女子バスケ入ったら、一緒に練習出来るね。楽しみだ」
そう機嫌よく笑いながら、後輩の元へ駆けていく。
「なになに今の!! かっこよくない?」
「バスケ部時代のアキを可愛いだって! マニアだ。マニア!」
新道とかいう先輩が去った瞬間、何故か二人は興奮して話しだした。
確かにかっこよかった。
それに中学時代は、ホントにバスケ一色で、男みたいに短い髪に常にジャージで移動していた私を、覚えていて尚且つ可愛いなんて言うのは、バスケ部の勧誘にしては特殊だよね。
今は、髪もストパーをかけてさらさらだし、肩まで伸ばしてる。
今日なんて背伸びして、爪を磨いたり鼻パックしたりしてみた。
久しぶりに凛君に会えるから。
「そーだった、あきはずっと好きな人がいるもんね」
「しかも付き合ってるんだから、かっこいい先輩に話しかけられてもときめかないんだよねー」
「そ、そんなわけじゃないよ! びっくりしただけだし! カッコいいと思ったよ。ちゃんと」
そう必死に言い訳をしていたら、職員室の裏口から先生たちが続々と靴に履き替えて出て来るのが、見える。
「ほら、一年は早く並べ。出席番号順だぞ」



