紅茶とコーヒーの香りが漂いながらも、沈黙が続く重たい雰囲気の中でも、ついつい家の中を覗いてしまう。
リビングの壁一杯に埋め込まれた本棚には、難しそうで重そうな本が陳列しているのは、小さな頃お邪魔していた時と全然変わらなかった。
ただ、教員採用試験の過去問とか資料も追加されているから、少しずつは凛君の本に変ってきているみたい。
「はい。紅茶。砂糖はもう入ってるから」
コトッと静かにテーブルに置かれると、凛君はソファに座る私の隣には座らず、ソファを背もたれにカ―ぺットに座る。
「あのね、凛君」
私は自分の気持ちを伝えようと口を開けたが、話し出したのは凛君からだった。
「ウチの両親が、何で海外で働いてるか知ってる?」
そう静かに言われて、首を振った。
珈琲の入ったカップを握りしめて凝視している凛君は、此方からでは表情が分からない。
「両親は、先生と生徒の間柄で恋に落ちて付き合いだした。ずっと交際してたのに母さんが実習生として通っていた時に学校にばれたらしい」
――衝撃的な事実を淡々と言うが、本当に寝耳に水、とはこの事だ。



