「えっつ、あ、その、じゃぁ足に負担がないように、背中を!?」
フワリ
言い終わる前に、先輩の手が私の髪に伸びて、後ろ頭を引き寄せられ、
体をねじるように、座ったまま抱きしめられていた。
「ず、るい、です」
「あきは、酷いよ。優しくしやがって」
押し返したくても、先輩の体が震えていて、怖くてたまらないのに言葉では助けを言えない姿が痛々しくて。
体を動かす事ができなかった。
固い、固い石になってしまったような。
私は確かに、言葉もくれない凛君を10年もずっと好きだったから、他の人なんて今は見れないけれど。
先輩の足が、酷い怪我でありませんように。
どうか、先輩の大好きなバスケを奪いませんように。
そう、心から願った。
「奏!!!」
ドアの音で、すぐに私から離れた先輩は、
泣きながら部室に駆け込む深雪先輩に苦笑していた。
……抱きついてたの、見られてないかな?
そう心配になりながらも深雪先輩の後ろにいる保健室の先生とバスケ部の先生と、――凛君に目線を移した。



