【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―


「む、無我夢中で……」

「ふうぅん」

拾おうとしない携帯に、震える肩。
私は、奏先輩にあんなことを朝、言われておきながら、図々しくも来てしまったんだ。


「ご、めんなさい」

凛君が好きだと言いながらもこんなところに来てしまって。
心から、そう言った。

「なんで、謝んの? それ、もっと傷つくんだけど?」
「ええっ、あ、ごめんなさい。!」

またもや謝ってしまって、慌てて口を押さえたら、やっと先輩は苦笑してこっちを見てくれた。

「ダメ。許せないや」

先輩の手が、私の髪に伸びる。

ゆっくり、上から下まで、撫でられて目が逸らせなかった。


「後ろから抱きしめていい?」

「だっ!?」

「じゃぁ、後ろ向いて背中貸してよ」

なんでいきなり、??
混乱して手をグーパーグーパーしていたら、その手を捕まえられた。


「俺、振られたんだし足もどうなるか分かんないんだし、一回だけ甘えさせてくれって言ってるんだけど?」