【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―




「先輩、失礼します」

返事を待たずにバッと靴を脱いでいる方の足のジャージを捲った。



「もっと、優しくしてよ」


頑張って笑顔でそう言うが、保冷剤で冷やされた足は、酷く腫れていた。

「私も、捻挫よくやりました。大丈夫ですよ」

「ん」

「先輩、運動神経良いから、きっと受け身も上手だったでしょうし」

「うん」

「――大丈夫ですよ」

本当は、こんなに腫れた足なんて見たこと無かったんだけど、不安を打ち消そうとしている先輩にそんなこと、言えなかった。

「明日、」

ポツリと先輩は落とすように言う。

「明日もあの公園で待ってたら来てくれる?」

足を震える手で触りながら、そう笑う。

「そ、れは」

「松葉杖でも俺は行くけど?」

「……ごめんなさい。行けないです」

ガシャン

先輩は携帯を床に落とすと、力なく笑って私から目を逸らした。


「じゃぁ、期待させんな。なんで来たんだよ」