ざわめく体育館内に、散乱したバスケットボールとバレーのコートの支柱が倒れていた。
「交代時間だったからバスケ部が急いで片づけてたら、組み立ててたバレー部とぶつかって」
「えー!? じゃぁ奏くんは一年をかばっちゃったの?」
泣きだす一年やボールを拾うバスケ部を横目に、そっと部室のドアを開けた。
「奏、先輩……?」
そろりそろりと中を覗くと、三つ並んだパイプイスの上、
携帯を片手に座っている先輩が私を見つめ返している。
「よっ」
「よって、大丈夫なんですか?」
「ちょっとバレーの支柱が足に当たっただけだよ。今。携帯で応急処置をググってるんだけどさ」
ニヤリと口元だけ笑う余裕を見せる先輩に、肩から掛けていた鞄がズルズルと落ちていくのが分かった。
「もう! 深雪先輩が心配していましたよ!」
泣いているから酷いのかと思ったのに。
そう思いながら、一つ飛ばして椅子に座って、先輩の方を見上げる。
……あっ
「深雪は、泣き虫なだけだよ」
そう軽口をたたきながらも、携帯をただただ、スライドしているだけで手も震えていた。



