ガシャン
廊下まで響く、何かが倒れる音。
それが、朝からふわふわと落ち着かない私の心を、現実に引き戻してきた。
放課後の靴箱で。
花音と柊が部活届を職員室に取りに行っているのを待っていた時だった。
朝のことを思いつつも、奏先輩に連絡しようか悩んで恐る恐る文字を選んでいた。
そんな中、ざわめく体育館から、深雪先輩が走ってくるのが見えた。
「あ、あんた確か、西中のキャプテンだったっていう一年!」
「そうですが……?」
首を傾げていたら、両肩を掴まれた。
「か、奏の左足、見てやって。わ、私、先生呼んでくるから、お願い」
両肩を掴んだ深雪先輩の手は震えていて、危機迫った顔で私を縋るように見ている。
「私みたいに、奏がバスケできなくなるよう怪我だったらどうしよう」
ポタポタと先輩の目から、大粒の涙がこぼれ落ちていく。
私は何度も何度も頷くと、急いで奏先輩の元へ向かった。
花音と柊が見えたけど、説明もせずに。



