【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―



そう言われて心臓がバクバクし始めた。
――それと同時に逃げていた現実も押し寄せてくる。

「それって、俺にもまだ可能性があるってことじゃん?」
「私は!!」

こんな優しくてかっこいい人に、そんな台詞言われるなんて、信じられなくて。
でも、だからこそ、打ち破りたくて、言った。



「私は、……凛君が好きで、す。
凛君が、私を、……私を…遠ざけたくても好きです」


声に出してら、震えてしまっていた。
声に出したら、その現実は、酷く朧気で、酷く不確かなものだった。


凛君が、私をまだ好きな証拠なんて何一つ、この手の中にないんだから。



「――そんな風に泣かせたく、ない。ごめん」

慌てて周りを見渡すが、私の涙を拭くものが無くて、ゴシゴシと服の袖で涙を拭いてくれていた。
袖からは、太陽の匂いがした。朝日と先輩の優しい匂いが。


「こんなにがんばってるんだから、もちろん応援したいよ。ってか、する」

拭いても拭いても涙が零れるので、先輩は苦笑する。




「でも、その努力を認めて貰えないなら、俺が貰う」