【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

「いつも朝ここを通ると、あきがシュートの練習 してたんだよ。しかも日に日にうまくなってん の。 ――その理由が少し後から来る凛くん先生が教え てたって分かったのがちょっと悔しかったな」

シュートならいっぱい練習していた。 運送神経しか取り柄がないぐらいの私が、集中し て出来ないのがシュートだった。 キャプテンに任命された二年の時に、忙しそうな 凛君に教えて欲しいとお願いしたのは私。

――キャプテンというプレッシャーが私を動かし たのだけど、大学生になってから距離を感じた凛 君を繋ぎとめたい気持ちももちろんあった。

……そんな凛君しか見ていない時期に、私を見て くれている人が居たのは、とても背中がムズムズ する。――この気持ちの正体は何だろう。

「奏人先輩は、いっぱい努力してるようには見え ない天才型な人かと思いました」

学校ですれ違う人、すれ違う人に話しかけられ て、常に人に囲まれて人気者で、 なのにバスケもダンスも上手い、天から一物も二 物も与えられたような、皆が憧れる人。

「わざと、話をそらしてる?」

「?」

「俺、今けっこうがんばったんだけど」

奏人先輩は苦笑するとわたしの方を見た。