「進路室使いたいのって君ら?」
すぐに先生の顔に戻った凛君はそう言うと鍵を取 りだした。
渡り廊下の奥に歩いていき、進路指導室と書かれ た教室のドアを開ける。
埃っぽくて、教科書や古新聞などが机の上を占領 しているこの部屋は、今はほぼ物置部屋っぽい。
「じゃぁ、俺と深雪は戻るから」 「ええ!?」
何でいきなりそんな話になるの?
「もう休憩終わるんだよねー」 「あたしもコップとかあらわなきゃだから。先生 はすぐ来る?」
行って。すぐに行ってくれ。 そう心の中で願うのに、凛君はため息を吐きだし ながら二人に話しかける。
「体育館の使用時間の振り分けプリントを部活が 終わる前にコピーして皆に渡さなきゃいけないか ら行けない。顧問の佐々木先生ならすぐ行くよ」
「事務の先生に頼めばいいのに」 「もうとっくに帰ってるよ」
……どうしよう。やっぱり自販機の横の有料コピー 機に行こうかな? 昨日の今日でどんな顔していいか分からない。
そうこそこそ進路室から抜け出そうとしたら、奏 人先輩と目が合ってしまった。
「じゃぁ、先生を手伝ってやってな、あき」
『あき』 朝もさっきも『あきちゃん』だったのにこの短時 間で、いきなり呼び捨て??
「ちょうどいいじゃん。兄弟みたいなもんだし な。またメールする」
くしゃくしゃと頭を撫でると、深雪先生と行って しまった。



