【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

「中学の、あのチーム以上のチームにはもう出会 えないかなって」

教員試験だ、就活だ、と家にあまり寄り付かなく なった凛くんの所為で中学時代は逃げるようにバ スケに打ち込んだ。

私の青春と言っても過言ではない。

だから家族みたいに大切なチームメイトたちがい るのに新しいチームに出会うのは、戸惑う。

思い出を大切にしたい気持ちが強い。

「じゃ、マネージャーやってよ」

「や、そんな女の子らしいこと、私はできませ ん!!」

「えー。じゃぁマネージャー引き受けたら数学コ ピーさせてあげようかな」

「ひ、酷い!! 後輩を脅す気ですね!」

私が真っ赤になって奏人先輩に食ってかかった時 だった。

「おまたせ~~。助っ人きたよん」

上機嫌な深雪先輩の後ろには、私をみて『しまっ た』という表情を見せる凛君が立っていた。

渡り廊下で数学のプリントを奪おうと先輩と追い かけっこしていた足が止まる。

強い風が私の髪を浚っていく。

その時初めて、今日は風が強いと感じた。￿