【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

急に表情を崩した先輩は、ふわりと笑う。

「10分休憩でしょ? お茶も準備してあるし、 私コピー用紙パクってきてあげるよ」

「ラッキー。じゃぁ、あっちの無料のコピー機使 えるじゃん。ありがと、深雪(みゆき)」

深雪と呼ばれたマネージャーは、口の端をあげて 笑うと、職員室の方へ歩いていく。

「君らはこっち」

手招きされて、私らは先輩の後に続いた。

汗をかいた体操服を、パタパタと指でつまんで歩 く先輩と私が主に会話した。 花音と柊は途中、各々の気になる部活の先輩に声 をかけられ、居なくなった。

先ほどの綺麗な深雪先輩が一年のマネージャーが 入らなくて大変だと、最近機嫌が悪いらしいこ と。

マネージャーの見学に来るのが、いかにも男目的 なミーハーばかりでうんざりしていることなど、 苦笑混じりで話された。

「ほんとは、足さえ怪我しなきゃ深雪もバスケ続 けてたから。やっぱ少しはバスケが分かる子にマ ネージャーして欲しいんだろうな」

そう言ってちらりと私を見た。

「バスケ、続けないの?」

うう。やっぱそう来たかぁ。