「でも、バスケが続けられるなら本当に良かったね」
「ああ、まぁ」
ちょっとだけ深雪は切なく笑うと、部室の方へ入っていく。
――確かに深雪の前で弱音は絶対に吐けない。
三年の最後の試合で深雪は試合中に相手とぶつかって転倒。
少し前から悪かったひざが悪化して、高校ではバスケを続けるのは諦めた。
俺は決勝まで残ってから、応援席に居た太一が深雪をお姫様抱っこで車まで運んでいたのを覚えている。
しばらくはあの二人が付き合ってるって噂も流れたし。
俺も二人と幼馴染だから、周りから散々聞かれたけど、
――何故か二人に聞けなかった。
それに二人なら俺に言ってくれると思ってたんだ。
思春期の、しかも異性が混ざった幼馴染なんてちょっと難しい時期もあるんだよな。
たださえ寡黙で硬派な太一には誰も聞けなかったし、
バスケ部で鬼のように熱血キャプテンしてた深雪には誰も聞ける奴は居なかったと思う。



