【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―



『おれとけっこんしようよ。みゆき』



初めて失恋したのは四才のとき。


当時、太一と深雪と三人でよく遊んでいた。


『え、わたしはたいちくんがすきなの。かなとはみんなにやさしいけど、たいちくんはわたしにだけやさしいの』


幼馴染みの無口で絵本ばかり読んでいる太一の方を選んだのは深雪で。



俺は全く相手にされなかったんだ。





「何それ。お前、記憶力良いな」

俺の足のお見舞いにやってきた太一は、表情も変えずに頭を掻いた。

今じゃあ隣の高校の野球部のキャプテンを務める硬派でイケメンな太一は、全く覚えていないらしい。


「お前は選ばれたくせにそんな態度かよ。モテる奴は違うな」

ぷーっとほっぺを膨らませたら、苦笑された。


「お前の方がモテてるだろーが。奏人」

「それは否定しないけど」


でも太一とではモテるジャンルが違う。