体育館の改装工事が終わる頃、奏先輩の足も良くなりました。
半分のコートを交代で使っていたバレー部とバスケ部と卓球部はうきうきです。
私は、私で、奏先輩のシュートが決まったために、奏先輩からの罰ゲームをいつ言い渡されるのかビクビクして逃げ回っていたけれど、とうとう美術室に居る所を捕獲されてしまっていたりする。
一緒に居た柊と花音が見守る中、奏先輩は私を見てすぐ言葉を失った。
「――ホントにあき?」
「本当に私です」
「可愛いじゃん」
目を見開いて驚いた奏先輩は、すぐに甘く笑う。
それが先輩らしくて私もついひへっと笑ってしまいました。
「勝負ならいつでも受け付けるから」
そう笑うと、私の頭をポンポンと叩いて美術室を後にする奏先輩。
それを柊と花音がニヤニヤ見ているのが居心地が悪い。
「何よ、二人とも」
「いや、絶対、凛君先生より新道先輩の方がいい男だと思うよ」
「――否定は出来ないけど、凛君はかっこいいもん」
そうほっぺを膨らませると、柊はヤレヤレと苦笑いを浮かべる。