「おい」
「うっ」
「歯でガードするな」
「だってだって、たんま! ストップ!」
「お前が不安がるからこうしてるんだろ。逃げるな!」
「~~!」
ムードのかけらもない大人のキスに翻弄されながらも、少しだけ凛君も私の気持ちに歩みよってくれたのでした。
大好き。凛くん。
「さて、良い時間だしあきの家に寄って帰るかな」
ボールを仕舞い、ちょっと肌寒くなってきた夜の風をお構いなしに
Yシャツのボタンを外していく凛君。
思わず胸元に目がいってしまったものの、よくよく聞いてみると、――おかしい。
「何で? この時間ならとっくにご飯片付いてるよ」
「――なんでって、俺の本気を見せるんだよ。あきが不安がらないように」
そう言うと、今まで見たこともないような意地悪くて、甘い甘い笑顔を浮かべたのでした。