「わっ笑わないでよ! もう半年は真面目に触ってなかったんだもん。感覚さえ思い出したら簡単なんだからね!」
悔しい。全然、心と比例してくれない。
私の思いは、ゴールじゃ表せないってことだね。
「ほら、見てな」
上着を渡され、腕まくりした凛君は、あの日のような綺麗なフォームでボールを投げた。
真っ暗な夜、月の光と微かな電灯の下、凛君はやっぱり見とれるほど綺麗で……。
ガゴン
「あ」
見とれるほど綺麗……で?
ガゴン?
「あははは。――やっべ」
こ、この人、外しやがりましたよ!!!!
「り、凛君も私に許して貰おうと思ってないでしょ!!!」
転がったボールを掴んで、凛君に向かって走り出すと、驚いた凛君も逃げ出した。
「逃げるな! 罰としてボールに頭ぶつけて反省しろぅ!!」
「悪い悪い! 気が緩んだんだって」
「奏先輩との勝負は失敗しなかったのに!」
私の為のシュートには手を抜くなんて!
「あきを獲られたくなくて、あの時は真剣だったんドよ」
「じゃぁ今も真剣に投げて!」
プリプリ怒ると、笑いを堪えながら凛君は綺麗にシュートを決めた。