【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―


「ほら、シュート練習してたのはこの位置だけど、学校のコートはこれぐらいだから」


外に野ざらしにされ古びて風でカタカタ揺れるゴール。
そのゴールからいつもより4、5歩下がった場所に凛君は足を止めた。

「ゴールに近かったらそりゃあココで練習したら入るよね」

「まずは入れる自信を付けさせたかったんだよ」

そう苦笑する凛君は、昔から私が知る凛君だった。


『ほら、ゴールはこうやって肩の力を抜くんだよ。見てて』

シュートが入らなくてイジけていた私は、ベンチからそのフォームを見た。



朝日にキラキラと輝く凛君のフォームは、カッコよくて音もなく着地して、ゴールに入っていくボールを目で追いかけながら、言葉を発することも忘れていた。



私も、凛君みたいにかっこよくシュートしたいと思ったし、
あの日のシュートを思い出すといつも胸が苦しくなった。