車は青で発進すると、小さな小道に入り、グルン とそこでUターンして、人影のない暗い道を進み だす。
あくまでも凛君は、私を乗せて家付近まで通るの を誰かに見られないよう、用心を怠らないつもり みたいだ。
「――じゃあ、私らの会話にゴールなんてないじゃ ん、平行線のままだよね」
そうプリプリしながら、携帯を確認するが、今日 に限って誰からもLINEは来ていなかった。
「だから先にゴール決めちゃお―ぜ」
キキッ
やっと車は止まると、公園の横の木の陰にバック で隠す。
そして後ろから、丸いボールの入ったケースを取 り出すと、ジッパーを開けて使い込んだボールを 私に投げた。
「勝負しよっか、あき」
眼鏡を肩で拭きながら、凛君は笑う。
「俺はあきをいっぱい傷つけたから、許してもら うまでゴールを決め続けるよ」
背伸びをしながら、凛君がいたずらっこのように ウインクする。 冗談で言っているように見えて、真剣な眼差しで 言う凛君はズルイ。



