【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

「うわぁぁぁーん」

車に乗ってからも涙は止まらなくて、もうすぐ凛 くんのハンカチは絞れそうだった。

そんな私に慣れたのか、凛くんはお構いなしに車 を発進させる。

せめて、奏先輩みたいによしよしとかしてくれた ら良いのに。

「……あき、おばさんに遅くなるって連絡しろ」

「ぅぇ?」

「俺はまだ携帯壊れたままで買い換えてないん だ。さっさとしろ」

「うっ 別れ話?」

「――お望みなら。違うならこれでも被ってろ」

後ろの座席からパーカーを渡されて、黙ってそれ を着てみた。

お日様と、凛くんの匂いと、バスケットボールの 匂いがして、ちょっとだけ心が落ち着いてくる。

――これ、欲しいな。

クンクン匂いを嗅いでいたら、隣からチョップが 飛んできた。

ちょっとダサい眼鏡をかければ、学校での印象が また違う、私だけの凛くんだった。

「どこ行くの?」

メールを打ちながら、そう尋ねた。