「あき、もう皆、帰ったよ?」
体育館の外は真っ暗で、誰も居ない体育館は声が 響いて酷く不気味だった。
「しょうがないって。あきは受験で忙しかったん だし。ほら、朝練してたコートは正確なコートの 長さじゃなかっただろ?」
必死な手振りで奏先輩が、フォローしてくれてる のに、
私は体育館の隅っこで壁に向かって体育座り。
顔も上げたくないぐらい、――泣いてしまった。
あんなに自信満々に挙手した私は、思いっきり、
ゴールを外した。
外した処か、掠りもしない。
何メートルも手前にボールは落ちた。
ゲラゲラと笑う深雪先輩と、声を殺して笑いを堪 える凛くんと奏先輩。
『あのさ、勝負続けていい?』
両肩に二人の手がポンと置かれた瞬間、
恥ずかしさから号泣した。
反面使っていた卓球部の人たちが一斉に振り返る ぐらい。
次々とバスケ部員が帰ってくる中、私は3人の制 止を振り払い、体育館の隅っこで一人泣いた。