「煙草行ってくる」
ちょっと拗ねたようにそう言うと、さっさと入口の方へ大股で消えて行く。
何も知らない明美先生は、手を振りながら見送ると目を輝かせて私を見る。
楽しかったのが全身から伝わってきて、ちょっと羨ましい。
「セイウチのショー可愛かったですよ~。ちょっとでか過ぎてびっくりでしたが」
「あはは。侑哉とどっちが大きかった?」
「ひっで」
明美先生が笑うと、侑哉は悔しそうに横腹をつつく。
侑哉はそう悪態を吐きがらも、未だ少し不機嫌そうに出て行く部長を目で追っていた。
明美先生もひとしきり笑った後、きょろきょろと座っている位置とイルカのプールを確認しだした。
「ここじゃなくてもう少し下で座ったら水しぶき掛かりますよー。行きましょう!」
「いいよ……。着替え持ってきてないし」
「じゃあ、また侑哉くんと二人で行ってきますよ」
そう乙女のように笑う明美先生に苦笑しつつも、言ってきていいよと小さな声で言った。
まんざらでもない侑哉と明美先生は、またすぐに下の席に移動していく。
嵐が来たかと思えば簡単に去って行った。



