「ほら、――みなみ」
信号待ちになって、部長がハンドルに顔を乗せて、こっちを見ながら極上に笑うと、甘く私の名前を呼んだ。
「い、言いません!」
「顔、真っ赤過ぎ」
冗談だったのかそのあとは、それ以上言ってこなくて、魚ショーの話題に擦り替えられた。
――水樹、さん。
心の中で呼んでみると、じわっと胸が締め付けられて、私は慌てて頭を振った。
分かってる。
流されたらいけないことぐらい。
うみたまご水族館は、別府湾に面した国道10号線に位置されている。
別府の駅からも大分からの便もあまりよくなくて車が主になるために、なかなか駐車場まで込み合っていて、中に入るまでに侑哉達とは少し時間が開いてしまった。
そう言えば、高校の時もカップルはバスで行くか、年上の彼氏を持っている人か車で行ってて、ちょっと羨ましかったんだよね。
無料チケットでうみたまごに入ると、入ってすぐの場所に人がいっぱい集まっていた。
「『うみたまパフォーマンス』だってさ。セイウチのショー見て行くか?」
見て行くって、この人込みでは下のセイウチが全然見えないです。
念の為に携帯を開くと、明美先生からLINEが来ていた。
『セイウチショー見てます♪』



