あの人だって殴ったって言ってたし。
クールに見えてちょっと中身は子どもっぱいのかも。
「その無言は了承だな?」
「え!?考え事してました。でも、どーせ拒否権なんてないんですよね?」
「優等生のお前にはないだろうな。嫌ならはっきり言えよ。俺には黙るな」
チラッと脅すかのようにそう言われると、ちょっと怖じ気づきそうだけど、だったら言わせてもらいます!
「元上司を名前でなんて恥ずかしいです」
「ん。その恥ずかしがる姿が好きなんだよ。じゃ、決定で」
「なっ 拒否権無いじゃないですか!」
私がどんなに嫌だと騒いだり反対しても、部長はくくっと楽しそうに笑うだけだった。
ずるい。結局、部長のペースなんだから。
「ほら、言ってみろよ。『水樹さん』って」
「い、意地悪言う人には言いません!!!」
「言ったら、全部奢る!」
――そこまで何で名前にこだわるんですか?
そう聞きたくても、その先の答えが怖くて黙ってしまう。



