「じゃあ、混んでたら先に回り始めていいから」
「はーい! お昼は一緒に食べましょうね~」
にこにこ笑う明美先生が、ちょっとだけ部長に目配せしたような?
「もしかして、明美先生とわざと二手に分かれました?」
「そんなわけねーだろ。ほら、シートベルト」
手を伸ばされてて慌てて自分で引っ張ると、部長の顔がにやっと維意地悪そうに笑う。
「意識してくれてんの?」
「!?」
「俺さ、魚のショー見たいから急ごうか。あっち、煙草吸うとこあんのかな」
「ぶ、部長!!」
独り言をぶつぶつ言いながら、全然私の話を聞こうとしない。
はめられた。最初から四人で回る気なんてなかったんだ。
明美先生も、部長も。
「あとさ、その『部長』って固くね? こっちに戻って来る気がないなら部長は止めろ」
「……じゃあ、橘さん?」
「ぶー。外れ。水樹(みずき)さんだろ、普通」
なかなか逃すと変らない信号の前で、ちょっぴりスピードを上げながら、部長は漂々とそう言うと、ギリギリセーフでその信号を過ぎた。
開かずの信号は、警察署前だからなかなか冒険する人はいないのに、部長は無駄に度胸があると思う。



