「お金貯めればすぐ買えるよ。でもバス停が近いからよかったじゃん」
「バス停からウチまでが坂だし暗いんだもん」
「――時間があれば迎えに行くよ」
そこまではさすがに甘えられないよ。今でさえ甘えっぱいで。
たか、甘えるために帰って来たのかもしれないぐらい依存しているのに。
「明美先生とデート楽しみ?」
つい、ふっとそう思ってしまった。
どんな気持ちで侑哉が、あのチケットを奪い取ったのか知りたくて。
「何で?」
「なんか顔がにやけてたから。女の勘」
「……」
少しだけ侑哉は黙ってけど、信号が青になると同時に小さくかすれる様に言った。
「片思いだった」
へっ?
その瞬間、自分でも驚くぐらい動揺してしまった。
もちろん、バイクのエンジン音でこれ以上会話は出来なくて家に帰り着くまではただただ、侑哉を抱きしめることしかできない。



