さっきの甘い笑顔。 ――侑哉、もしかして明美先生が好きだったりし て?

も、元カノとか? でも、侑哉は経験なさそうだったけど。

「百面相中悪いんだけどさ、みなみ」

「!?」

椅子の背もたれに両肘をついて私を覗きこむ部長 に思わず仰け反る。

「な、何ですか?」

「――抜けよーぜ?」

「は!?!?」

何を済ました顔でサラっと言うんですか! そう言葉にする前に、部長の手が私の手を握っ た。

「煙草が切れたんだよ。お前を一人にすんのは悪 いだろ? ちょっと付き合え」

そう言って強引に引っ張られ立たされると、直ぐ に階段まで歩きはじめる。

「じゃあ、ちゃんと帰って来るからな」

「いってらしゃい」 「きゃー」

呑気な二人は止めてくれるはずもなく。

私は部長と二人、ぷちドライブをする破目になっ てしまった。

きょろきょろと侑哉や飛鳥さんを探したのに、見 つからない。

これはいい加減一人で頑張れと、神のお導きなの かもしれない。