グォングォンと上下に揺れ、ゆっくりとテーブルの隅へ動いて行く。

慌ててスマホを持って、その振動を止めた。



『――もしもし』



止めたと同時に、電話を取ってしまったことにとてもとても後悔してしまう。


『もしもーし。固まってんのか、蓮川』


電話越しの声は、退職して以来会っていない上司の声だ。

ちょっと鼻につくような甘く低音で喋る、この声。

いつもセットでいたから忘れるわけない。

『話は、あのクソマザコン野郎から聞いた。てか、吐かせた。あいつは制裁しといたよ』