「水樹さん、終わりまし……」
パタパタとスリッパの音を響かせていたのを止め、脱いて水樹さんのそばに近寄る。
リビングのソファで、ネクタイを脱ぎかけたその手のまま。
――水樹さんは気持ち良さそうに眠っていた。
やっぱり疲れてたんだ。
近くには、真くんのお昼寝用のタオルケットしか見当たらない。
バサっと広げたタオルケットは、柔軟剤の良い香りがする。
それを水樹さんにかけて、ネクタイを起こさないようにゆっくり手に取る。
せめてネクタイだけはほどいてあげたいんだけど、
分からない。
どうすれば良いのかも分からない。
ぐしゃぐしゃになったネクタイをどうすれば良いのか苦戦していたら、『ククッ』と声が聞こえてきた。
「俺、今襲われてんの?」



