「あの水樹さん、」
「――ん?」
サラサラと音がなりそうな髪を揺らして、首を傾げて私を甘く見つめてくる。
「普通、向かいに座りませんか?」
「こっちの方が距離が近いだろ」
同期や水樹さんに怒鳴られていた同じ営業課の皆に見せてやりたい。
実はこんなに水樹さんは優しい人なんだと。
「早く食べろ。見ててやるから」
「~~余計食べれませんよ!」
やっぱり。
こんなに水樹さんが素敵な人だというのは皆に内緒。
一人占めしたい。
……なんて。
私が食べ終わるのを、水樹さんは缶ビール片手に本当に見るだけだった。



