「これって私が『部長は料理できないんじゃないですか?』って聞いたからですか?」
「――もちろん。俺は仕事も家事もとことんやるからな。隙はねーよ?」
う。意外と根に持ってる。
以前有沢さんが水樹さんを『家事は全部彼女にやらせてた』って言ってたから、引っ越し先がマンションだった時に『料理できないんじゃ……』と驚いたのが発端か。
私と水樹さんの中で、有沢さんは格好いいけど空気が読めない最低男の総称だと決まった。
それにしても、こんな手の込んだ料理を水樹さんが作るなんて。
自然と笑みが浮かんでくる。
「何をクスクス笑ってんだ。早く食え。俺が食べれねーだろ」
「ふふ。だって」
そう笑っていたら、水樹さんは横の椅子を引いて座る。



