「知り合いの店にドラッグスターが入荷したと聞いて見に行けば、侑哉のドラッグスターだったんでびっくりしてな。奴は電話出ないからみなみちゃんには仕事中だったのに悪かったな。
最初は売りやがった侑哉に怒りが沸いたんだがな、バイク屋に着いて、綺麗な侑哉のバイクを見て怒りが迷子になっちまった。こんなに綺麗で大事に乗ってるバイクを売る気持ちが俺には分からん」
飛鳥さんはまるで子供を撫でるかのような優しい手つきでバイクを触ると、重いため息を吐き出した。
「……私も分かりません」
やっと私と侑哉の距離も決まって穏やかになったのに。
明美先生も悲しそうな顔で困惑している。
「一昨日、バイト終わって飛び出したのはバイクを売るためだったんだろうな。慌てすぎて、あいつカバンからこんなもん落として行きやがった」
そう言って、胸元から取り出したB5サイズの封筒には、産婦人科の名前が大きく印刷されている。
私が行った産婦人科の。
受け取った中身は、私が貰った不妊治療の取り組みや、期間、そして治療費が書かれた冊子にパンフレット。簡単な診察の結果用紙。
いつの間にか私、落としてたんだ。
落として、……侑哉に拾われていたんだ。



