真っ暗な空を見上げ、チラリと腕時計を確認する。
別府から福岡の小倉までの終電は21時52分。


時刻は20時を過ぎていたけれど、話が長くなってもギリギリで飛び出せば大丈夫。なはず。



「――みなみ先生、私ですね、見たんです」

シートベルトを閉めた明美先生が、落ち着こうと深く溜め息を吐いてから喋り出す。

「?」


「水族館へ今朝行く途中に、中古バイクショップで見たんです」

真っ青な顔でそう言うと、私を見た。






「侑哉くんのバイク」


――え?



「売りに出されてたバイク、侑哉くんのバイクじゃないかなって。珍しい形のバイクだから、気になって。でもさっきまでそれ処じゃなかったから」