「――それこそ本人に言わなきゃだね」
さらさらの髪を撫でると、くしゃりと顔を歪ませる。
多分、笑おうとして失敗したんだろう。
私と侑哉は、ギリギリのラインで姉弟の立場に居たけれど、ずっとこのまま依存していたら。
私は侑哉しか見れないぐらい堕ちていたと思う。
一度繋がってしまえば、私たちは離れられなくなっていただろう。
本のちょっとのズレなんだ。
本の少し、ちょっとだけ反れただけ。
もし部長が私を迎えに来なければ、
もし明美先生が侑哉を頼って会いに来なければ。
間違いなく私と侑哉は、お互いに依存し合って抜け出せなくなっていたと思う。
そう思った瞬間に、ぞくりと背中に冷たい衝撃が走る。
それは私と侑哉が侵さなかった、侵せなかった禁断の行方。
触れ合える。
口づけできる。
抱き合える。
けれど、それをしないのは、
抜け出せる勇気が出たからだった。
侑哉に大好きだよ、と告げると、
こぼれ落ちるような小さな声で言った。
――俺も。



