「侑哉!!」
私が走り出すと、部長の車は静かに走り去っていく。
だけどそれを振り返れず、侑哉の姿を探しに走り出す。
鍵がされていない玄関を入ると、開けっぱなしのリビングのドアの向こうに、頭をタオルで隠してソファに前屈みに座っている侑哉がいた。
「……侑哉っ」
お風呂上がりだったのか髪の雫が床に落ちていく。
床に膝をつき、前屈みに座る侑哉の顔を覗き込む。
昨日は何処にいたのかとか、明美先生とどうなったのかなんて聞けない。
そんな重々しい思い詰めた表情だった。
「ずっと……、姉ちゃんが好きだったよ」
『みなみ』と名前ではなく『姉ちゃん』と侑哉が呼ぶ。
「ずっとずっと、優しすぎて大人しい姉ちゃんを俺が守るって決めてたんだ」
そう言うと力強く拳を握り締める。
「明美を抱こうと思ったのに、姉ちゃんの顔が浮かんできて、なんか不誠実で……俺、抱けなかった」



