【完】神様のうそ、食べた。

ぐんぐんと近づいてきたくせに、部長はひらりと距離をとった。

それは私が部長の気持ちに真剣にぶつかってない部分がまだまだあるからだ。


無理矢理に心を動かそうとしているんじゃない。


部長はちゃんと私の心が動き出すのを待っている。



「土日には福岡に帰らなきゃいけないってのが面倒だが仕方ないか」


「――また真くんが寂しがりますね」


「そうだな」

バクバクいっている心臓を押さえるように胸に手を当てた。



「さっきみたいな有沢にはっきり言えるようになれば、俺も安心だがな」



車がブレーキをかけて止まる。

よく見たらもう私の家の前まで来ていたんだ。



「――俺はちゃんと見ててやるから」


ポンポンと2回、頭を撫でられた。


それだけで泣けてくるから不思議。

なんで部長は、私に暖かい気持ちをくれるのだろう。




感情が……止まらなくなりそう。



恥ずかしくて慌てて車から降りて家の方を見た時だった。


視界に入ってきたバイクに目を見開く。




――侑哉が帰ってきている。