――二人は同じ夜を過ごしたんだ。


なのに、私の心はそれほどダメージを受けていなくて。本当に現金な奴で笑ってしまう。
朝のバスで、欠伸を隠しもせずに、真君と立っていた部長。

心は止まらない。切なく甘く滲んでいる。

お帰りの会が終わると、園児をお残り担当の先生に引き継いで貰い、私と宮本先生はクラスの掃除に回る。

でも宮本先生は、もうかなりお腹が大きいのでなるべく花の水替えやら絵本の整理やら動かない事をお願いしている。

「みなみ先生も今日は早番よね? 車で送って行くから一緒に帰りましょう」

「え、いや、とんでもないですよ! 宮本先生とは逆方向ですし」

箒で床を掃きながらそう言うと、宮本先生は胸をドンっと叩いて、笑った。

「大丈夫! 今日は検診なの。もう9カ月だから週に一回、病院に行かなくちゃいけなくてね」

クスクス笑う先生の言葉に、私の手は止まる。

それと同時に箒を握る手が、汗ばんでいく。