あの時は、ただただ、侑哉の体温を求めて、触れるか触れないかのギリギリで顔を寄せた。
雲に隠れて、部長に見つからないようにと祈ってしまう。
泣いて泣いて泣いて、本当に辛かったけど、私には受け止めてくれる大きな腕があった。
小さなころから私より強くて頼もしい弟が、居た。
お互い、気づいたら凄くドキドキしていて、侑哉の体も反応しているのを感じて、――ちょっとだけ怖くなった。
此処から先は戻れなくなる。
引き返せなくなる。
でも、この温もりから離れたくない。
お互い、知らんぷりしたの。
その先を踏み越えないように、眠ったふりをしたの。
だけど、翌朝起きてもその温もりはしっかり心に感じていた。
神様、ごめんなさい。
侑哉が明美先生に取られるかと思ったら
、こうやって傷ついている侑哉を見て胸が痛いのにホッとしている。
踏み越え切らないくせに、ほっとしているの。



