「お前、馬鹿だろ」
「!?」
後ろから声が、した。
――もう気づかれるなんて。
「あのな、リアス式海岸だから見通しいいし、逃げるなら向こうの高崎山にでも逃げろ」
「そうしますから、帰って下さい」
「嫌だ」
次の瞬間、体がふわりと宙に舞った。
「――重い」
「ぶ、部長!!」
「お前、うるさい」
雨の中私を肩に担ぐ部長は、とても不機嫌だった。
不機嫌そうな貌を雨が伝う。ちょっとだけ肩が大きく動いているのは、走って来てくれたのかもしれない。
「お、下ろして下さい!!!!」
暴れたら、部長のサングラスが簡単に落ちて、すんなりと私を下ろしてくれた。
……右手は握ったまま。
「そんなんだから、放っておけねーんだよ、馬鹿」
怒りもせずにそう言うと頭を両手でグシャグシャに触られる。
「ぶ、部長のばかー!!」
「馬鹿はお前だ!!!」
そう言われたら言い返せなくて、涙があふれてきた。



