「愛内。ちょっと。」
 惟が、愛内さんに耳打ちしていた。その内容は、僕には聞き取れなかった。
 ―――惟なら何とかしてくれる。
 その信頼が、僕を突き動かしてくれた。だから、ふたりの会話が聞き取れなくても、全然平気だった。